ハトクラ第二版制作記録3

こんにちは、深山秀です。
さて、ハトクラ第二版制作記録の第3回目は、第二版で大きく変更される手番順ルールのお話をしていきます。

手番順と初期デッキ

多くのターン制ゲームがそうである様に、ハートオブクラウンにおいても手番順における有利不利の問題があります。
ハートオブクラウンPCのプレイデータを調査したところ、1番手のプレイヤーは、4番手のプレイヤーに対して3倍近い勝率があり、ここに手を入れる必要があるのは明らかでした。

ハートオブクラウンにおける、先手番の有利さは、

  • 欲しいカードを買うチャンスが多い。(影響:小)
  • 攻撃カードの影響を受けづらい。(影響:中)
  • 1ターン多くプレイ出来る。(影響:大)

という三要素から構成されています。
すぐに思いついた対策は以下の3つ――

  • 後手番にコインカウンターを配る。
  • スタートプレイヤーマーカーを用意し、プレイターン数を揃える。
  • 後手番の初期デッキを変更し、見習い侍女を何枚か宮廷侍女と入れ替える。

まず「後手番にコインカウンターを配る」アイデアです。
残念ながら即座に却下しました。拡大再生産に直接影響する為、コインカウンター1個でもゲームバランスへの影響が極めて大きく微調整が出来ない上に、ゲームのプレイ感やセオリーが以前から大幅に変わってしまいます。

次いで「スタートプレイヤーマーカーを用意し、プレイターン数を揃える」です。戴冠式周りのルールを改めて、各プレイヤーがプレイ出来るターン数を揃えるというアイデアでした。
これは、ゲームバランス上の問題は生じないのですが、試してみると実にプレイ感が悪いため、やはり没に。

最後に、「後手番の初期デッキを変更し、見習い侍女を何枚か宮廷侍女と入れ替える」です。
このアイデアは軽く試してみた所、プレイ感への影響も少なく、一番有望そうでしたが……。残念ながら速攻クラムクラム戦術――3ターン目「クラムクラム」擁立から、4ターン目「見習い侍女」3枚セットする戦術――があまりに強くなってしまう事に気づき、残念ながら没。

さて、どうしたものかと頭を捻った私は、最後に「果樹園」へと辿り着きました。

新カード「果樹園」

「果樹園」は1コインを生み出すだけの、何の変哲もない弱いカードです。「農村」と違うのは、コストが1多い事と-2点の継承点ペナルティーがない事だけ。

さて、ハートオブクラウン第二版では、2番手のプレイヤーは1枚、3番手のプレイヤーは2枚、4番手のプレイヤーは3枚の「果樹園」を、初期デッキの「農村」と入れ替えてからゲームを始めることになります。

これにより、後手番のプレイヤーほど、直轄地で継承点ペナルティーを受ける確率が下がり、単純に戴冠式レースで有利になるだけでなく、擁立においても先手を取りやすくなります。

実際のテストプレイにおいても、手番順の勝率差は顕著な改善が見られており、プレイ感も非常に良好です。
もう手番ゲーとは言わせない(?)ハートオブクラウン第二版、ご期待下さい。

手番順カードの追加とハンドエリミネーション廃止

また、第二版では、手番順を迅速に決める為の専用カードを追加することにしました。
上記の四枚をシャッフルして裏向きに並べ、各プレイヤーが1枚ずつ選ぶことで、スムーズに順番を決められます。(まあ、麻雀の掴み取りですね。)

そして、「果樹園」のルールと「手番順カード」の追加に合わせて、旧版のバリアントルール「ハンドエリミネーション」はルールから廃止されます。
もちろんハウスルールとして使用する分には問題ありませんが、ハンドエリミネーションの仕組みは、先手番が大きく有利だからこそ機能するものですので、手番による差が縮まった以上、公式ルールとしては廃止します。