ハトクラ第二版制作記録4
- 2021.12.03
- ハートオブクラウン
- ハートオブクラウン第二版
こんにちは、深山秀です。
ハトクラ第二版制作記録の第4回は、いよいよ第二版におけるバランス調整の核心「双子の姫 レイン&シオン」について語っていきます。
姫ごとの勝率と擁立回数
ハートオブクラウンPCは、おかげさまで沢山のプレイヤーの皆さんに遊んでいただく事が出来ました。結果として、大量のプレイデータが残されたわけですが、やはり10年近い間に蓄積された大量のプレイデータは、事前のテストプレイでは気づけなかった問題点を如実にあぶり出します。
以下は、ハートオブクラウンPCのランクマッチで上級者が参加した試合に絞り、プリンセスごとの擁立数と勝利数を集計したものです。
勝利数 | 擁立数 | 勝率 | |
ルルナサイカ | 4045 | 21628 | 18.70% |
ラオリリ | 5271 | 21755 | 24.23% |
クラムクラム | 5093 | 20706 | 24.60% |
ベルガモット | 4179 | 21232 | 19.68% |
フラマリア | 2020 | 12996 | 15.54% |
レイン&シオン | 13472 | 37494 | 35.93% |
オウカ | 4700 | 16813 | 27.95% |
アナスタシア | 1536 | 6054 | 25.37% |
うーん、格差。
レイン&シオンの勝率の高さと、擁立数の多さが飛び抜けていますね。そして、フラマリアの擁立数、勝率がともに低いです。(ちなみに、アナスタシアの擁立数が低いのは、別売り拡張セットで追加されるプリンセスの為ですので、ゲームバランスとは関係ない話です)
もちろん、この様なデータがあるゆえに、フラマリアはリメイクされるワケですが……、残る問題はもちろん「双子の姫 レイン&シオン」です。
さて、「双子の姫 レイン&シオン」をリメイクしていくとして、その前に考えなければならないのは、「一体何が問題の核心であるのか」という事です。
「単純に強力過ぎて、バランスが悪い」「擁立回数が多過ぎて、ゲーム展開の幅が減っている」などがデータからは見受けられますが……。
さて実のところ、「バランスが悪い」事そのものは、必ずしも解決しなければならない問題ではありません。ゲームというのは、面白ければそれでいいわけで、面白さを損なわない限りはバランスが悪くても大きな問題ではないわけです。
例えば、麻雀の役で「全帯」と「三色同順」は同じ点数ですが、難易度は「全帯」の方がかなり上です。しかし、このバランスの悪さは別に麻雀の面白さを損ないません。
どちらかといえば、「双子の姫 レイン&シオン」の能力が強い上に汎用性が高いので、「擁立回数が多過ぎて、ゲーム展開の幅が減っている」方が問題としては大きいと言えます。しかし、これも「問題の核心」ではありません。
「双子の姫 レイン&シオン」問題の核心は、強い事でも汎用性が高い事でもないのです。
「レイン&シオン」と「クラムクラム」の微妙な関係
実は、「双子の姫 レイン&シオン」問題を語る上で欠かせないのが「南洋の市姫 クラムクラム」というカードです。
「南海の市姫 クラムクラム」というカードは、一部プレイヤーには「弱い」と分析されています。
先に上げたデータによれば「クラムクラム」の勝率はほぼ25%であるので、弱いというのは間違った見解であると反論する事も出来るのですが、残念ながら弱い原因とされる構造は間違いなく存在しており、これがゲームバランス以上の問題なのです。
「南海の市姫 クラムクラム」は、「購入コストを-1する」という能力を持つ為、(能力利用回数が最大化出来る)3ターン目に速攻で擁立した場合が最も強いという性質を持っています。一方「双子の姫 レイン&シオン」は、既に擁立されている姫が多いほど強くなるという性質を持ちます。
つまり「南海の市姫 クラムクラム」は、誰よりも先手を取って擁立する事で力を発揮するカードゆえ、そのまま対戦相手の「双子の姫 レイン&シオン」を強化してしまうという構造を持っているのです!
「南海の市姫 クラムクラム」で速攻を掛けたいが、そうすると対戦相手の「双子の姫 レイン&シオン」を強力にしてしまう為、擁立をしづらい……。
「双子の姫 レイン&シオン」が持つ問題の核心は、その強さや汎用性ではなく、その強さが「相手プレイヤーの行動」に強く依存する為に、全プレイヤーの戦略に強い制約を与えてしまう事なのです。
生まれ変わったレイン&シオン
さて、問題の核心が「相手プレイヤーの行動に能力が強く依存している事」にあると分かりました。よって、現在の能力のまま、得られる「双子カウンター」の個数を調整するだけでは問題が解決しない事は明らかです。
第二版での「双子の姫 レイン&シオン」は、「擁立数」ではなく「自分のデッキのカード総数」に能力が依存します。
ハートオブクラウンは、大体1ターンに1枚ずつデッキの総枚数が増えていくので「双子の姫 レイン&シオン」を擁立出来るタイミングはおおよそ12ターン以降となります。
呪い場や、低コストドローカード等がある場では強くなりますが、デッキ圧縮をすると弱くなります。
以前の強力さは減じ、汎用性も少々失われましたが、擁立後のプレイ感は変わりません。問答無用の「エクストラターン」は健在です。
生まれ変わった「ハートオブクラウン」にご期待下さい!
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